「よし、完成!」




「まだだよ」
 志織ちゃんはそう言って、自分がつけていたぐるぐるに巻かれたマフラーをはずし、雪だるまにぐるぐると巻いた。





「これで、完成!」
 志織ちゃんは俺に向かって笑いかけた。
 




 けど、志織ちゃんは小学校を卒業すると同時に遠くに引っ越していった。





それ以来彼女と出会うことはなかった。連絡先なんて知っているはずもなく、彼女が今どこで何をしているのかなんて知りたくてもその術がなかった。
 




 会えるものなら会って気持ちを伝えたかった。




小学生のころ志織ちゃんのことが好きだったというこの気持ちを。



でも、いまでも好きかと聞かれると正直なところわからない。






きっと、俺はあの頃の志織ちゃんに恋していたんだ。