南条が職員室の奥に向かっていくのを眼の端で捕らえる。

俺の席からは振り返らなくては見えないけれど、あの方向はきっと村田先生の所だ。


 
村田先生への羨望、嫉妬。



南条は村田先生と俺、どっちが信頼できると思ってるんだろう…

やっぱりベテランで経験値の高い村田先生だろうか。

南条は村田先生のこと…



胸の中を渦巻く重苦しくみっともない痛みに胸が焦がされる。



手元の答案用紙に採点を続けるけれど、意識は斜め後方の南条と村田先生にほぼほぼ集中してしまう。

ここに二人の声は届かない。

どんな話してるの?

進路、結局どうしたんだろう…



胸がざわつく。