「大学受かったら南条は春から東京に行くだろ?

南条のこと、応援してるけど…

でも正直俺、ホントは凄い心配なんだ。」



先生はこちらに向き直って言う。



「その時は向こうの知り合いみんなにお前のこと頼んどくつもりだけど、実際のとこ毎日傍に居られるわけじゃない。」

そう言って先生は私の右の頬に手を当てる。



「あ、もちろん気持ちだけはいつだって南条の傍にいるよ?」



「え…」



甘い台詞にどきりとするのも束の間、先生はちょっと顔を寄せて被せるように言う。



「でも心配なんだ。」



射し込んだ街灯の灯りに真剣な瞳が煌めく。



「寂しい思いしないかとか、生活のこと困らないかとか、悪い人間に狙われたりしないかとか…」

「……」

「それに…

俺から気持ちが離れてしまうんじゃないかとか…」

「え…」

「頑張ってる南条を応援しなきゃいけないのに、こんなこと考えるべきじゃないのにな。ごめん。」



先生は少し寂しげに微笑み、頬に当てられた先生の掌がそっと離れた。



(先生…!)