それから私たちはイルミネーションの一番の見所、光のトンネルに向かった。

歩きながら先生は時々指環を確認するように私の左手に触れる。

しっかり繋ぐでもなくゆるゆると触れ合う指と指に、なんだか胸の中がそわそわ擽られるような感覚がした。



数百メートルある光のトンネルは、その全天をぎっしりと夥しい数の小さな灯りが埋め尽くしていた。

目映いばかりに煌めくそれはまさに星々で、銀河の中を漂っているようだと思った。



「星が降ってくるみたいだな。」



隣で先生が言った。



「うん…私もそう思った。」

「そう?俺たち気が合うな。」



顔を見合わせて「ふふっ。」と笑い合う。



「本物の空は今日は生憎曇ってるけど、これならいつでも見られていいね。」

「うん。」

「でも…

いつかは本物がこんな風に星でいっぱいの所、見に行こうか?ふたりで。」

「えっ?」

「ずっと傍にいる、って言ったろ?

色々綺麗なものとか面白いものとか、一緒に見に行こう?

南条の喜ぶ顔見たいし。」

「…ん。」



嬉しい言葉に照れてしまってまともに先生の方を見られなくなった。

先生はそんな私の指にまたそっと触れた。