幽かに唇に何かが掠れたか掠れなかったか、微妙な触感の一瞬の後。



頬に先生の吐息が掛かった。

眼を開けると同時に先生が離れる。



「止めておこう。」



困ったように先生が微笑んだ。



「俺、南条のことになると自分に甘くて駄目だな。ごめん。」



「うん…」



信じて待つって決めたから仕方ない。



仕方ない、けど…



夢のような雰囲気に酔いしれて期待してしまっただけに、ちょっと残念に思った私は悪い子かな─?