「南条!」
デスクに向かって何か仕事をしていた先生は、ドアから覗き込む私を見るとぱっと顔を輝かせて迎えてくれた。
可愛い先生の微笑みにきゅんとしてしまう。
(あー!なんかもうっ!どうしよう!!)
先生と気持ちが通じ合ってはじめてのふたりきりの時間。
部屋に入ってもなんだかドキドキしてしまってドアの傍で立ち尽くしていると、先生に声を掛けられる。
「座ってよ、いつもみたいに。
ただでさえなんか…
いつもと違って気恥ずかしいから。」
そう言って先生は照れ臭そうに笑ってくしゃくしゃと頭を掻いた。
(先生でも恥ずかしかったりするんだ…)
それがなんだか嬉しくって、でもやっぱり更に恥ずかしくって、ますます激しくドキドキしてしまう。
「聞きたいとこはない?英語。」
言いながら先生が自分の席から立ち上がる。
「うん、今日はない。」
私はいつもの椅子に座る。
「そっか。」
先生は今日は私からテーブルを挟んだ向かいの椅子に横向きに腰掛けた。
それからさっき自分のデスクの下から持ってきたデパートの紙袋を私の前にとんと置く。