清瀬くんの返事に驚いて顔を上げると、清瀬くんは可笑しそうに

「ははっ!」

と笑う。



「嘘。

元々1週間お試しって言ったろ?」



「あ…」



「お試し期間に落とせなかった俺の負け。

だからそんな暗い顔すんな。」



清瀬くんは立ち上がって、私の頭をくしゃっと撫でた。



「清瀬くん…ごめん…」



清瀬くんの掌は優しくて優し過ぎて、胸の奥がきゅっとなる。

泣いたらきっと清瀬くんを困らせてしまう。

分かっているのに堪えきれなくて、涙はぽろぽろと零れて落ちた。



「ほら。やっぱここにして正解。」



清瀬くんはもう一度頭を撫でてから、今度は私の両肩に掌を乗せた。

その掌にきゅっと力が入る。



きっとこの間みたいに腕の中で泣きたいだけ泣けばいいよ、と抱き締められる…



涙を零しながらそんなことを考えていたら、不意に清瀬くんの手が離れた。