それにしても…
もう一度メールの画面に眼を遣る。
『一人で大丈夫だよ!』
(南条、ホントに大丈夫かな…)
今日彼女はこれから塾に行く。
そして『彼』に会うことになる。
「別れてくるから。」と言う彼女がやっぱり心配になって、
『一緒に行って謝ろうか?』
と提案した。
どんなに彼女を愛していたとしても、教師という立場でありながら教え子に手を出して、生徒と同じ年頃の少年から奪い取ったという事実は変わらない。
南条だけの問題ではなくて、俺に十二分に責任のあることだ。
けれど彼女が『大丈夫』と言う以上、それを信じて待つことしか出来ない。
メールの差出人欄を指でなぞる。
「舞奈…」
彼女の名を呟いた時、
ガラガラッ!
「!」
いきなり廊下に面した引き戸が開き、俺は手にしていたスマホを咄嗟にデスクに広げていたテキストの下に隠した。
準備室に入ってきたのは岩瀬先生だった。
「…あぁ、岩瀬先生、お疲れ様です。」
「お疲れ様です。」
(や…ヤバかったぁ…)
メールにはばっちり南条の名前が書かれている。
もしも岩瀬先生に見られてしまうようなことがあったら、また厄介なことになる。
いや、それどころか南条の進学に差し支える事態にだってなりかねない。
(これは何か考えないとだな…)
岩瀬先生の見ていない隙にこっそりテキストの下からスマホを抜き取ると、デスクの下のバッグに放り込んだ。
* * *
もう一度メールの画面に眼を遣る。
『一人で大丈夫だよ!』
(南条、ホントに大丈夫かな…)
今日彼女はこれから塾に行く。
そして『彼』に会うことになる。
「別れてくるから。」と言う彼女がやっぱり心配になって、
『一緒に行って謝ろうか?』
と提案した。
どんなに彼女を愛していたとしても、教師という立場でありながら教え子に手を出して、生徒と同じ年頃の少年から奪い取ったという事実は変わらない。
南条だけの問題ではなくて、俺に十二分に責任のあることだ。
けれど彼女が『大丈夫』と言う以上、それを信じて待つことしか出来ない。
メールの差出人欄を指でなぞる。
「舞奈…」
彼女の名を呟いた時、
ガラガラッ!
「!」
いきなり廊下に面した引き戸が開き、俺は手にしていたスマホを咄嗟にデスクに広げていたテキストの下に隠した。
準備室に入ってきたのは岩瀬先生だった。
「…あぁ、岩瀬先生、お疲れ様です。」
「お疲れ様です。」
(や…ヤバかったぁ…)
メールにはばっちり南条の名前が書かれている。
もしも岩瀬先生に見られてしまうようなことがあったら、また厄介なことになる。
いや、それどころか南条の進学に差し支える事態にだってなりかねない。
(これは何か考えないとだな…)
岩瀬先生の見ていない隙にこっそりテキストの下からスマホを抜き取ると、デスクの下のバッグに放り込んだ。
* * *