次の日

「ミサ!ちびっ子と遊ぼうよ!」


と言われて無理矢理引きずられた私は

ちびっ子達が集まる部屋へと

向かうことになった。


足取り軽く部屋へ向かう彼と

それにただ、ついていくだけの私。


――もし、私たちを見たら

――どんな風に周りの人は思うのだろうか。


「いやー、でも本当に実感がねぇな。」

道中、何の前触れもなく

急にそう言い出した彼。

彼の発する言葉は

一発で理解できないものが多くて。

「何の?」

と今回も聞き返した。

すると、彼はチラッと目線をこちらに移し

また正面に戻した。


そして


「ミサと離れる実感。」


とだけ、彼は言った。


何も言えなかった。

何と返せば良いのか分からなくて

何か言わなきゃと思っていても

何も言えなかった。


――前の私なら、きっとその言葉を

――聞き流していたと思う。


彼の言葉を聞いてから

自分の胸のなかで蠢いている感情は

いったい何なのだろう。


彼は私の方を次はちゃんと

向くと複雑そうな表情で



「なぁ、ミサ。あのさ――」
「あー!変なお兄さん来た~!」



瞬く間に元気な子供達の声によって遮られた

彼の声。


その場に残ったのは

その先に言おうとしていたことは

何だったのだろうという疑問だった。


「ちょっ、変なお兄さんって、変なおじさんみたいに言うなよ~!!」

再び彼に視線を移すと

彼の表情は笑顔に変わっていて。

「だって、お兄さん変じゃーん!」

「このっ!ガオレンジャーの曲弾いてやらないぞ!」

「え!?それは嫌だ~!」

「じゃあ、素敵なお兄さんと呼びなさい!」

「はーい!」

と無邪気な子供達と戯れている彼は

さっきの顔は何処に行ったのやら

いつも通り生き生きとしていた。


―――やっぱり、君はこうであるべきだよ。


私も気がつけば口元に笑みを浮かべていた。