「ねぇ、マヒロ―――聞こえる?」


固くて冷たい石碑の前。


白いユリの花束を持った私は


彼に問いかけた。



「私、マヒロとの約束、守ったよ。」



その石碑の前に花束をおいた私は



線香に火をつけてそれらをあげる。



「ちゃんと、人間になったよ。マヒロ。」




そして、手を合わせて彼を偲んだ。




「もう、ナースコールを押せないなんて、嫌だから。」




そう付け加えて。




――――私には、もうひとつ言わなければ



いけないことがあった。





もう見えない彼の姿。




でも、何故か目の前に君がいる気がしたんだ。



「――――――マヒロ、手紙ありががとね。



ちゃんと読んだよ。




それでね、マヒロ。



多分ね、私―――













君の勇気をきっと

愛し続けてしまうのだと思う。」