「無理だよ…。」

いつもは平然とカマを握っていた両手には

全く力が入らない。

「…無理だよ。マヒロ…ねぇ、どうすればいいと思う?」

マヒロに聞いたってどうしようもないのに

私はマヒロにそう問いかけてしまっていた。


何も発さないマヒロ。

ただ、私をじっと見ていた。


――ねぇ、何か喋ってよ。

――君のせいなのだから。


「ねぇ、マヒロ…。」


――やっぱり嫌いだ。

――マヒロのこと

――嫌い

――もういいや。

――いっそのこと言っちゃえば楽になる。

――だから


そんな彼に当て付けるように私の口は動くいた。


「本当…マヒロのせいだよ。」

いつもより低くて暗い私の声。

「え?」

とマヒロが驚きを孕んだ声で

聞き返してきたけれど、もう止まらない。


「マヒロのせいで、こんな風になっちゃったんだよ。ねぇ。どうしてくれるの!?」


――違う。マヒロのせいじゃない。

――本当はマヒロのことを悪くなんて

――思っていない。



「マヒロのせいで今までなかった感情も、今まで捨ててきた思い出も、全部全部大切になってしまったんだよ!どうしてくれるの!?死神にとっては致命傷だよ!!これからどうすれば良いのかもう分かんないよ!!だから私、マヒロのことが―――「ミサ。」」



気がついたら、ベッドに寝転んでいたはずの



マヒロが私をきつく抱きしめていた。