――――――彼の左胸の2㎝上。 加速した大きなカマはピタリと止まった。 「ミサ?」 彼の戸惑う声が私の鼓膜に届く。 ――――本当に、君のせいだからね。 私はその大きな刃を横に寝かせてしまった。 カシャンと鳴った、私の仕事道具。 「―――無理…だよ。」 今までの私からは想像つかないほどの 弱々しい声。 「え?」 でも私には、もう限界だった。 「…無理だよ。 ――――私は、マヒロの魂を奪うことなんてできない。」