榎本へ
お前が楽しかったことを思い出すと同時に、俺は嫌な記憶まで思い出しました。
しかも追伸にまでメイド服の話を持ち込みやがって。
感謝の気持ちがあるなら、その件は触れずにおいて欲しかったです。
どうせお前みたいなぼっち根暗にはそんな気遣いできないだろうけど。
手紙に学校がしんどいと思う自分は嫌なやつじゃないかと書いていましたが、学校がしんどいとか面倒だとか思うのは至って普通です。
俺の友達も、授業なんてロクに聞いてないのに、台風で学校が休みになるとはしゃいでいます。
そのくせ、卒業式では寂しいだなんだと号泣する始末です。
そんなもんです。
深く考える必要なんて一ミリもありません。
誰だって理由もないのにだるいと感じたり、矛盾した感情を持っているものです。
そんなことを考える暇があるなら数学の勉強でもして先生を安心させてやって下さい。
お前は、いかにも数学が得意そうな理系顔をしておいて、掛け算すら危ういという残念頭の持ち主です。
なぜ毎回7の段になると計算のスピードが劇的に落ちるのか。
お前は小学校のときの百マス計算をもう一度やるべきです。
そんで、数学の得意なやつを見つけて特訓でもしてもらえ。
飯倉浩介
P.S.べつにどうでもいいけど、俺の得意科目は数学です。