「バレンタイン、チョコの数では如月には負けないからね。

週末の大会でも負けないしね‼︎

相手、強豪校だけど負けないからね! 」


そう言って机を叩いて、
瞳に闘志を宿らせたちはるちゃんが、

黒板を見て顔を曇らせた。


「あー…今日掃除当番だった…

一分でも早く体育館に行って

練習しようと思ったのに」


部活用のスポーツバックを床に放り投げて
天井を仰いで、

ちはるちゃんが脱力している。



そんなちはるちゃんの背中をバシッと叩いた。



「ちはるちゃん、部活に行っておいでよ!
私、掃除当番変わるから! 」


「本当に⁈ 」


「掃除当番なんて、いくらでも代わるよ!

私も大会前は人一倍練習しないと落ち着かないから、
ちはるちゃんの気持ちよくわかるっ。

そのかわり週末の試合、絶対勝ってね! 」


そう言って、スポーツバッグを拾って
ちはるちゃんに向かって投げると、

ちはるちゃんがスポーツバッグを受け取りながら


「おうよ! 」


と元気よく答えた。



大きなスポーツバッグを背負って、
意気揚々と教室を出ていったちはるちゃんを見送ると


掃除担当の昇降口に向かった。