すると腕のなかで震えていたりりちゃんが腕のなかから、俺を見上げる。


「玲音は怖くない?大丈夫?」



「 だ、大丈夫っ」



「ごめん、玲音も怖いよねっ。
手、つないで出口に向かおうっ」



りりちゃんが立ち上がったその瞬間、
目の前にゾンビが飛び出してきて……



「ギャーツ‼︎‼︎ 」




壮絶な悲鳴をあげたりりちゃんは、
その場に泣き崩れてしまった。



一歩も歩けなくなったりりちゃんを
抱きかかえながら、なんとか出口に向かう。



ガタガタと震えるりりちゃんの肩を強く抱くと、
ぎゅっとりりちゃんが俺の胸に顔をうずめる。




「りり花、大丈夫?」




「……ダメ。全然だめ…」



涙目で答えるりり花が、
どうしようもなく愛おしい。



必死に俺にしがみついてくるりり花を抱きしめながら、

心に強く思う。


りり花のことは、絶対に誰にも渡さない。



やっと出口にたどり着くと、


お化け屋敷の目の前にあるベンチにとりあえず
りりちゃんを座らせた。


「う、ううっ、こ、怖かった…」


ボロボロと涙をこぼして泣いているりりちゃんにタオルを渡して、背中をさする。


「りりちゃん、もう終わったから大丈夫だよ。
もう、目、開けて大丈夫だから」


「いやだ!!こ、こわいもんっ…!
変なのばっかりいたし、暗いし!ううっ…」


「もう外に出たから大丈夫だよ。暗くないよ?

りりちゃん、暗いの苦手なのに…
どうしてお化け屋敷なんて入ったの?」


「だって、あんなに怖いと思わなかったんだもん…

真っ暗だし…なんにも見えないし、お化けとかいるし!」


「いや、お化け屋敷だから…そりや…」



「う、ううっ…」