「お母さん‼︎ 」


「あら、りりちゃんおはよう♫ 」


「狂犬ってなんのこと?
だいたい、なんの話をしてるの⁈ 」


息巻くりりちゃんに、おばさんがにこやかに答える。


「りりかの彼氏の話♪ 」


「それがどうして狂犬って話になるの⁈ 」


「気にしない♪ 気にしない♪ 」


「気にするよっ‼︎ 」


そこまで言って、りりちゃんがおばさんのスーツに目を留めた。


りりちゃんの視線に気が付いたのか、
おばさんが申し訳なさそうに口を開いた。



「りり花ごめんね。

今日はお休みする予定だったんだけど、
急に仕事が入っちゃったの。

朝ごはん置いておいたから2人で食べてね」


「日曜なのに仕事なの? 」


そう言って、ほんの一瞬、
りりちゃんが寂しそうな表情を見せた。


「仕事が立て込んじゃって。いつもごめんね。

じゃ、玲音くん、りりちゃんのこと末長くよろしく!
それじゃ、お二人ともごゆっくり♡ 」



言いたいことだけいうと、バタバタと忙しない音を立てておばさんは出かけていった。


おばさんが出ていくと、部屋が静まり返った。



「……お母さん、朝から元気」」



「うん……」