「ごめんね、りりちゃん。今日はあんまりお腹空いてないから…」


そう言って玲音は夕飯にはあまり手をつけずに席を立った。


お昼ごはんだって、ほとんど食べていなかったのに…



ソファに座って隣でテレビを見ている玲音をちらりと見る。



ぼんやりと画面を見つめている玲音の瞳にはなにも写し出されていなかった。



「じゃ、りりちゃん、おやすみ」


なにも話さないまま、ゆっくりと立ち上がり自分の家に帰ろうとした玲音の腕を

ガシッとつかんだ。


こんな顔をした玲音を誰もいない家に1人で帰すわけにはいかない。



「玲音、今日、うちに泊まっていったら? 」



それを聞くと、玲音は栗色の髪を揺らして困ったように小さく笑った。