「どう、中学校は? 楽しい? 」
おばさんのかすれる声と青ざめた顔色から
あまり具合が良くないのが伝わってくる。
不安を振り払うようにわざと明るい声をだした。
「みんなすごく背が高くてね、びっくりしたの。
3年生なんて大人みたいなんだよ。
先生より大きな人もいて、
正直、ちょっと怖いと思っちゃった。」
それを聞いておばさんは優しく微笑む。
「りりちゃんも大きいじゃない?」
「でも、もっと大きい人がたくさんいるの。
ね、玲音? 」
小さく頷いた玲音におばさんが優しく微笑む。
けれど、苦しそうな表情を隠して無理に笑っていおばさんの様子に、
あまり長居してはいけないと悟る。
「玲音はどう? 」
おばさんがゆっくりと玲音に視線を向けるけれど、玲音は固く口を閉ざしたまま。
「玲音とはクラスは離れちゃったんだよね? 」
そう玲音に問いかけると、こくんと玲音が頷く。
「玲音、どうしたの? 」
玲音は口を固く結んだままなにも話そうとしない。
するとおばさんが 棚に飾られた写真たてを指差した。