「玲音、暑いよ……。これ、脱いじゃだめ?」


りり花がダブダブの俺のブレザーを指さす。


「だめっ! それ脱いだら絶対に許さないだからっ!」


二人で歩きなれたマンションまでの道を歩く。


すると、りり花が立ち止まって俺を見上げた。


「どうしたの、りりちゃん?」


不思議に思って尋ねると、
りり花が桜の木の下で満面の笑顔で答えた。


「玲音、中学校卒業おめでとう。
高校でもよろしくね!」


そう言って俺のジャケットに包まれながら、
りり花が幸せそうに笑うから。



俺はいつまでもりりちゃんの可愛い玲音でいるよ。