「こうしたら少しはあったかいでしょ?」


「えっ⁈ ちょっ、りり花‼」


動揺している俺のことを、
きょとんとしてりり花が見上げる。


「あっ! 手、つなぐのやだ?」


そんなわけない。

でも、心臓がドキドキして苦しい。
それに、もうすぐ学校に着くし……。

手つないで学校に行ったら、きっと誤解、される。


りり花はあれこれ考えている俺には全く気づかずに、
ニコニコしている。


「で、でも、りりちゃんの手が冷たくなっちゃうから……」


焦っている俺と、いつも通りのりり花。


「玲音と手つないでるから、あったかいよ。玲音もあったかい?」


「う、うん」


「はは、玲音、顔赤い! もうあったまってきた?」


そんなはずないだろってツッコミたいけど、
緊張してうまく言葉が続かない。


「玲音、どうしたの?」


いつもと変わらないりり花に、必死にいつも通りの自分を演じる。