制服姿のままの玲音をちらりとみて、
マフラーをはずして、玲音の首にまきつけた。


すると、悲し気に笑いながら、玲音がマフラーを私に返そうとするので、

その手を止めた。


「りりちゃんが風邪ひいちゃうよ」


「私は大丈夫だよ」


そっと玲音のほっぺたに触れると、
氷のように冷たくなっていた。

こんなところに一人でどのくらいの時間、
座っていたんだろう。


両手で玲音のほっぺたを挟んで、
じっと玲音を見つめる。


「玲音、なにがあったの?」


しばらく黙っていた玲音だったけれど、

そんな玲音をじっと見つめ続けた。


すると、根負けしたのか、
視線を外して玲音が感情のない声で答えた。


「りりちゃん、俺、九州にある全寮制の高校に行くことになった」