【りり花side】


「ただいま!」


「あれ? 雨ふりだしたの⁈」


ずぶ濡れになって帰宅した玲音を見てびっくり。

私が帰るときには雨なんて降ってなかったのに。


玲音の髪からはポタポタとしずくが零れ落ちていて、
制服もびっしょりに濡れている。


慌ててタオルを取りに行き、玲音の頭や制服を拭いていると、


「りりちゃん、寒い」


と玲音が呟く。


「大丈夫?」と玲音を見上げると、
両腕を開いた玲音の腕の中に閉じ込められた。


わわわわっ‼

なになになに⁈


「玲音、どうしたの⁈」


「すごく、寒い……。りりちゃん、あったかいね」


ガタガタと震えている玲音の体は、
すっかりと冷え切っていた。


「ちょっとだけ、こうしてていい?」


「どうしたの、玲音?」



びっしょりに濡れた玲音からは雨の匂いがする。

頬に触れた玲音の胸がひやりと冷たい。


「お風呂! お風呂沸いてるから早く入って!
このままじゃ、風邪引いちゃうよっ!」 


ずぶぬれになっている玲音の腕の中からすり抜けて、

玲音を引きずるようにしてお風呂場まで連れて行った。