「りりちゃん、なにしてるの?」


「瀧澤くんに数学教えてもらってたの」


「数学?」


「うん!瀧澤くんの教え方、すごくわかりやすいんだよ!」


「へぇ…」



「玲音は部活終わったの?」



「まだ終わらない」



玲音はちらりと瀧澤くんを見ると、
にこりともせずにグラウンドに戻っていった。



「玲音、どうしたんだろう?」


なんだか、ご機嫌ななめ…?


「隣のクラスの如月だっけ?」



「うん」


「吉川と如月、仲いいよな。
幼なじみなんだろ?

あいつ、女子にすごい人気あるんだろ?」



「瀧澤くんも人気あるよ」


「え、ええっ?!ないない!」


動揺している瀧澤くんが面白い。


「瀧澤くんも人気あるんだよ」


「そ、そっか。照れるな」


そう言って瀧澤くんは真っ赤になってしまった。



「あ、あのさ、吉川って、彼氏とかいる?」


「ううん、いないよ。いるように見える?」


「ううん、見えない」


「あ、それはひどい」


「ははっ。たしかに! それじゃ、また明日な。」


「うん、また明日!」



笑い合いながら滝澤君と昇降口で別れた。