ガラスの破片は思ったより奥まで入っていて、中々取り出せないでいる。


「さぁ!皆、ボサっとしてないで早くここから出よう!」


「お、おう。」


俺達はここまでの逆転を想像すらしていなく、言われるがままに部屋から出た。だが、吉永は部屋の中に立っていた。


「おい吉永、何してる?早く行くぞ。」


「ごめんね西条、私ここに残るよ。」


吉永の意外な返答に俺は目を点にした。


「何言ってんだよ?そいつがいつまでもその状態な理由ない。残っていたら確実に殺されるんだぞ!いいから早く来い。逃げるんだよ。」


青山は吉永の腕を掴み、強引に連れ出そうとするが、吉永はそれを振り解く。


「青山....私はさっき言ったことは本音。あいつを油断させる演技なんかじゃあない。私はここで決着をつけたいんだ。
確かに殺される。うん、それはわかってる。だけど、そうと分かっていても私はここへ残るべきだと思う。皆が逃げる時間稼ぎにもなるし...私はそうしたいんだ。」


「ふざけんじゃねぇ!!そんなのただの犬死だ!お前は矢野の分まで生きなくちゃいけねぇんだよ!!」


吉永は笑った。涙を流しながら青山の言葉に笑って答えた。


「....ねぇ、青山....私...」