「ハッ、そんなに悲しいならよォ、さっさと出てってくれないか?泣くなら一人の方がいいだろ?」


「何言ってるのぉ〜一緒に悲しさを理解し合うのが友達っていうやつじゃないのぉ〜よく分からないけどぉ」


青山はそんな冗談を吐きながら、辺りを見回していた。青山自身、ここから抜け出す方法を探しているようだ。


「ま、待ってくれ!鬣犬....ち、ちゃんだろ?」


「えぇ〜?なぁ〜んで私の名前知ってるのぉ〜びっくりくりくり〜」


「あの部屋のパソコンの中に書いてあったんだ。それよりも聞かせてくれ。お前の事を...なんで俺達を襲っている?」


鬣犬は振りかざしていた包丁を止めて、視線を外し天井を見つめながら考えている。少しでも時間を作るが故に聞きたくもない会話を振った。上手く行けば対象外になる可能性も少なからずあるという、希望を心の端にあったのかもしれない。



「ん〜私の事か...子供の時からご飯と勉強しかしてないんだよねぇ〜。だけど、この身体になってからは色々と面白いこと出来るんだよね〜」


「....な、何が出来るんだ?」



「う〜んとね、まず傷が治るでしょ?あとお腹が減らない。あとは....お使いかな〜?」



「お使い?」