喉から大量に血が出て、フラフラ状態だが何とか意識は保っていた。
「ハァハァハァハァ....ごぼ...わ、わがるが?...ぉまえはぶぎがな、い...今度ごそ...終わりだ...」
「わぁぁすご〜い。喉に刺さったのにそこまで喋れるなんて...私が食べてきた中で一番生命力すごいね!
....とっても....美味しそう...
あっ!ジュースが!勿体無いなあぁ〜」
鬣犬は名前通りに地面に広がっている血の湖を、下でぺろぺろと舐めていた。武器が奪われ、瀕死とはいえ野宮さんに殺されそうになっているのにこの余裕が俺達を圧迫していた。
「んん〜美味しいねぇ〜やっぱり生きたい人って美味しいやぁ〜」
「........グッ!ふ、ぶざげるな!!」
野宮さんは喉元を真っ赤に染め上げながら、鬣犬の背中を刺そうとした。だが、鬣犬はその手を掴み、もう片手で野宮さんの首元を持ち上げた。
「ぐぞぐぞ!!じでじで!!じ、ごぼぼぼぼ...グッ!」
喉を締められているのと傷口を触られているのもあり、野宮さんは包丁を手から離して、必死に鬣犬の手を引き剥がそうと悶絶している。
そんな光景を俺達は見ていた、見ることしか出来なかった。こんな惨劇に足が震えて前へ進めないのだ。