「じゃあ地下室の電気とドアを閉めたのは....」


「ふふふっ。面白かったなぁ、み〜んな焦ってドンドンって...あのまま餓死してくれたらよかったのになぁ〜。」


鬣犬が呑気にそんな事を言っているうちに、野宮さんは鼻に刺さっている包丁を無理矢理に抜くと、銃口を鬣犬に向けた。


「今すぐ地面に伏せろ!変な動きをしたらすぐ撃つ!これは警告だ!」


野宮さんの拳銃を見るなり、鬣犬は明らかに目付きを変えた。


「あぁ知ってるそれ。私を痛くしたやつだ。もうすぐ自由になれたのに....あの...あの!あのあのあのあのあのあのあのあの奴がァァァァァァァァ!!!」


鬣犬は急に声を荒げ、さっきまでの子供口調はどこかへ消えていった。
その急変に俺達は動揺し、恐怖心に包まれていった。
それは銃口を向けて、圧倒的な位置に立っている野宮さんも例外ではない。


「は、早く伏せろ!!本当に撃つぞ!?また痛い思いしたくなかったら言うことを聞け。」


「....分かったよ〜分かった分かった。
はいはい、これでいいんで........しょ!」


鬣犬は手が床に着く直前になり、一気に野宮さんとの間合いを詰めようとした。だが、恐怖心もあり、警戒心が最大になっている野宮さんはそれを見逃さない。