野田さんは黒い拳銃を手に取ると、青山の返事の有無を聞く前に拳銃を向けながらドアを開けた。部屋から先はろうそくの火がいつの間にか灯っており、薄暗い感じになっていた。

野田さんを先頭に吉永、加奈、俺、青山という順番でゆっくりと部屋を出る。

寒気と独特の雰囲気が廊下を満たしていて、足を前に出すのが辛い。

吉永は野宮さんに合図をするように先を指で指した。


「あそこの角を曲がると階段があります。
この部屋が階段から近くて助かった...」


吉永は小さい声でそう呟いた。

軋む音が度々聞こえる廊下を亀のようにゆっくり進む。
別に気になる音が聞こえない中、確実に曲がり角まで到着した。

曲がり角を曲がる前に野宮さんは壁に背を預け、大きく息を吐く。
気持ちが整理出来たのか、ゆっくりと銃口を向けながら曲がり角のクリアリングをした。


ザチュッ!!


そんな音と共に野宮さんは後によろけた。
片手で顔を抑え、今にでも倒れそうにヨタヨタした。


「の、野宮さん?」


俺がそう声を掛けると、返答の代わりにある音が聞こえた。床に水滴が落ちる音が。さっきの音と水滴の音、嫌な事を考えてしまい、まさにそれが的中してしまった。