「私、ドア開けた時にすぐ長富の姿が目に入ったの。本当なら巻き込まないように、他の方へ行けばいいのに....そんな余裕なくて....
結果的に鬣犬もその部屋の中に入ってきて、私達は追い込まれたの。
鬣犬は私達を弄んだ....まるで、ネズミが巣に戻るのを遊びながら阻止するみたいに....」
「なんでそんな事を...」
「私も分からない。....だけど、鬣犬は楽しそうに、包丁や身体を揺さぶって私達の反応を見て楽しんでた。
その隙をついて長富は私を置いて一人で逃げようと、鬣犬の間を抜けようとしたけど....鬣犬は廊下に飛び出した長富の背中を包丁で切ったの。
長富はその場に転んで、私はその隙に逃げようとした。
だけど、鬣犬はそれを見逃そうとしないで私の腕を包丁で切った。」
「その時にその傷は出来たのか....」
「うん...そしてその次に長富も立ち上がったの。二人を対処してればいずれ逃げられるって思ったのかな?鬣犬は結局長富の方を選んだの。
弱っている長富に馬乗りになって、切られた背中を何度も....何度も突き刺した。
私は怖くて腰が抜けて、その光景を見るしかなかった....
包丁を突き刺す音が止んだと思った瞬間....
ブチブチって音が聞こえたの。何かの繊維を無理矢理ちぎったみたいな....」