「だけど....吉永と坂目さん、敦はどうするんですか?」
「それは君達が外へ脱出する事が出来たら、俺が責任を持って連れ出してみせる。」
本来ならここは大人であり、警察官である野宮さんの言うことを聞くべきなのだろうが、俺は引き下がれなかった。
「じゃあそれまでの間、俺は何も出来なくて指をくわえていろって言うんですか!?そんな事をするなら、俺は助けに行きます。」
「いいや、余計な負傷者は出すわけにはいかない。人数が多い分、被害を大きく受けるのは当然のこと、俺一人でやる。
それに...こいつもいる事だしな。」
野宮さんはそう言いながら黒い拳銃をじっと見つめた。
「とにかく、ここからの脱出を最善する。今の話はその後だ。
窓は木の板で塞がっているが、それほど頑丈そうではないな。
二階っていうのが引っかかるが、ベットの布でロープを作れば大丈夫だろう。」
「いえ....そんなんじゃ...ダメ....」
その言葉と同時に部屋のドアが開いた。俺達は心臓が飛び出る感覚を味わいながら、ドアから大きく離れ、身体を硬直させた。
ドアを開けた人物は吉永だった。右手で左肩を抑えつけ、息を切らしながら顔を真っ青にしていた。
抑えてる部分の服が真っ赤になっていた。