俺達は息を切らしていた。あまりの緊張感で息を吸うことすら忘れていたからだった。


「そういえば栄治君。何で来るって分かったんだ?あいつが部屋の前くらいに来るまで足音なんて聞こえなかったのに....」


「それは俺だって聞こえてませんでした。ですけどこの刃、配置的に猟奇的な感じがしました。獲物も捕らえる罠的な...
だけど、捕らえるだけの刃だとして、電気が付くっていうのは何かしらの意味があると考えたら、もしかしたら「獲物がかかった」っていうのを知らせるためと思ったんです。」


「でもよ、それなら音でいいんじゃねぇのか?音の方が気付きやすいだろ?」


「音じゃあ正確な位置が分からんからじゃないか?音を出す仕組みが無いのかどうかは分からないけど....
とにかく、あいつへの合図は明かりもあるってことは分かった。」


部屋の電気は相変わらず付いたまま。だが、少しづつ弱くなってきている感じがしていた。


「あと西条、永島を殺ったあいつって...」


「あぁ。理沙と千恵、長富の言ってた事と一致してる。例の女の人....いや、鬣犬だ。」


長く血で固まっている髪、血の模様がある白い服、どれも該当していた。


「そんな事よりまずはここから脱出する事を君達は考えるんだ。殺人が起こっている以上、君達をここにいさせる訳にはいかない。」