加奈自身、今の状況で吐いたら長富を殺したやつに気付かれるのは分かっていた。だが、分かっているのだが込み上げてくるものがどうしても抑えきれないでいた。

ついさっきまで普通に会話出来ていたのに、こんな姿になってしまうのは予想出来ていなかったのだろう。

俺はすかさず加奈を優しく抱き寄せ、何とかして吐き気を....最悪音を出せないようにした。


「加奈...すまんが我慢してくれ....頼む....頼むから....」


頭を撫でながらそう言うと、加奈は俺の胸に頭を入れながら、コクリと頷いた。

加奈を抱きしめながら、俺はやつの行動を首を痛めながら無理矢理にでも見た。

やつは尋常じゃないくらいの臭いの吐息を吐くと、「ふふっ....ふふふっ」と不気味に笑いながら部屋を出て言った。その足音が完璧に奥の方に消えていくまで、俺達は一切気を緩めず必死に耐えた。

完全に奥の方へ行ったと確信し、俺はドアをゆっくりと閉めた。
その途端疲れがドッと襲ってきて、俺達はベットの外へ出ると力なくその場に座り込んだ。


「はぁ....はぁ...な、なんだったんだ?あれは....長富....だよな?」


「信じたくねぇけどそうだな....あいつ、永島の頭を持ちながら移動してきやがった....永島が殺られれたのはついさっきなのか?」