全体的に薄黒く、ヒビがはいっていた。爪もボロボロでとても血が通っているようには思えなかったが、上の方から血がつーっと垂れてきていた。その血はとても綺麗で、新鮮そのものだった。

足音はゆっくりと刃の方へ近付き、その手前でしゃがんで見せた。

しゃがんだことで全体像を大体把握出来た。

白く、ボロボロで血なのか赤い染みが多く付いていた。髪の毛は真っ黒でとても長く、何年も風呂に入ってないかのようにボサボサで、所々変色して固まっていた。

だが、問題なのはその見た目ではなく、そいつが片手に持っていた物だった。


それは長富の頭だった。そいつは長富の髪の毛を掴みながら持ってきていたのだった。

両目を白目にして、舌をだらしなくダラーんと出していた。粘膜や鼻からも血が出血していて、顔は真っ白。
本来、胴体と繋がってる首からは赤く染め上げている骨が見え、血と一緒に首の肉がズルリと地面に音を立てて落ちていく。

想像もしていなかったその状況に俺達は金縛りのように動けなくなった。完全にその光景に圧倒され、ただ見たくもない長富の頭を見ることしか出来なかった。

すると、後ろで「うっ」っとうめき声が聞こえて、俺はやっとの思いで振り返ると、そこには涙を流しながら吐きそうになっている加奈がいた。