俺は思わずため息を吐いて、薄目で闇住人の方を見た。だが、ある二人のシルエットがワゴン車の後ろから姿を現し、俺は目が点になった。
それは俺、青山がよく知っている。野宮さんと坂目さんだった。

野宮さんはスーツの上に灰色のブレザーを来ていて、坂目さんはスーツのままだった。

俺達を見つけて、野宮さんは更に顔が厳しくなった。次第に全員二人の存在に気付き、青山は舌打ちをした。


「野宮さん、坂目さん。こんな所で何をしてんですか?」


「....それはこっちのセリフだよ。今は自宅待機の筈なのに、こんな大勢でこんな山奥...とても普通の学生では取らない行動だね。
....それに....矢沢さん。まさか貴方までいるとはね....なんでこんな所にいるんですか?」


野宮さんはため息を吐きながら闇住人の方を見る。闇住人は嬉しそうで悲しそうな顔をして、野宮さんと向き合っていた。


「野宮、久しぶりだね。僕が辞表出してから、随分出世したみたいだね。」


「えぇ、昔話に花を咲かしたいのはこちらも同じですが、まず質問に答えてくださいよ。こんな所まで何の用ですか?」


野宮さんはギロりと闇住人を見ると、闇住人も緊迫した顔付きになった。


「あ、あの....やみ...矢沢さんは、野宮さんと知り合いなんですか?」