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山に入ると、普通なら通るはずのルートを外れて、獣道へ車は入っていく。ワゴン車でもギリギリ通れるスペース、木々が窓のゼロ距離にそびえ立っていた。
気が付くと、もう周りは木や植物しかなく、獣道もないようなところを走っていた。


「あの....本当にこんな先に村なんてあるんですか?めちゃくちゃ危なくて、今にも木に当たりそうなんですけど...」


「そうだね〜村はあるんだけど、本来車で通らないからね。普通は徒歩だけど、それだと結構時間かかるし、熊とか良く出るからね。大人数であればもし遭遇したらはぐれちゃうかもしれないからね。
出来るところまでは車で行くつもりだよ。

おっ、あぶ」


ワゴン車は地面の悪さでガクガクと震わし、木々を避けながら走行しているので、吉永は既にグロッキーな状態だった。

そこから数分後、車はようやく止まった。

闇住人が降りるよう指示し、吉永は一目散にワゴン車から飛び出し、外の新鮮な空気を吸った。



「ン〜!泉岡山ってこんなに空気が美味しかったっけ?気持ち悪さも吹き飛ぶよ〜。」


おじさんみたいな言葉を並べる吉永は無視し、闇住人に声をかける。


「ここから歩くってことなんでしょうけど....どれくらいかかります?」


そんな事を聞くと、闇住人は微笑した。