「それなら弁解出来ますよ?西条は永島を助けたんです。永島はあの光景を見て、視線も不安定だった。後から聞いたら飛び降りそうと思ったんですって。
それで永島を無理に廊下奥まで連れてったんですけど、西条もそれなりにダメージ残ってたんですね....ほら、ちょっとこうすれば...」


青山はそんな事を言うと俺の背中をポンッと軽く叩いた。赤ちゃんがゲップを出すために叩いてあげるものよりも威力は小さかった。
だが、何故か俺にはそれは致命的で、吐き気が一気に込み上げてきて、その場で崩れた。


「西条、お前気付いてなかったが廊下奥で一回倒れかけて起き上がった時から、顔色が異様に悪かったんだ。ストレスとさっきの光景が原因だと思うがな....
なぁ永島、斐川...お前らも見てたし聞いてたろ?」


青山の言葉に数秒遅れ、二人とも何回か頷いた。今となっては長富も俺たちに従うしかないのは確かだった。
野宮さんの舌打ちが頭上で聞こえてくる。


「....笑えない茶番劇ですよ。そんな演技で乗り切れると?」


「そもそも西条が今回の犯人っていうのは間違いですよ?矢野と笹井の件はこいつも結構関わってるからまだ分かりますが、今回は一人で自殺した。逆に俺達は助けようと手を伸ばした側なんです。
それに、そもそも今回の自殺と前の二件の関わりが見えないんですが....」