ピンポーン…
正人の家に着いて、チャイムをならす。
「ういー…」
ガチャ、とドアの開く音と共にスエット姿の正人が出てきた。
「久し振り…。」
「おう、入れば。」
「…お邪魔します。」
正人の家に来たのは、5回ぐらいしかなくて。
だけどあの時と変わったのは、女物の靴やタオルが増えていたこと。
「入ってよ。」
そう言われて、正人の部屋に案内された。
「で、何?ヤらせてくれる訳?」
そんな事を言いながら、ベッドに座る正人。
あたしは正座をして、言う。
「今日は、キッパリ、終わりにしようと思って。」
正人は目を見開いた。
「……は…?」
沈黙が、続いた。
「……なんで?」
先に口を開いたのは、正人だった。
「なぁ、なんでだよ?」
「…正人、彼女いるでしょう?」
「は?いねぇよ!……あ、もしかして靴とか増えてること?あれは、おかんの妹が最近─…」
「うん、分かったから。…別れよう…。」
「いっ、意味分かんねえよ!どしてだよ!?彼女なんかいねぇぞ!?おい!」
正人は、身を乗り出して身振り手振りと説明してくる。
「あ、もしかして俺がしばらくメールしなかったから、拗ねてんだ!?なあ!そうだろ!?」
「じゃなかったらなんだよ!女がいる証拠でもあんのかよ!!」
正人は、イライラしているようで、頭をクシャクシャかいていた。