「奏多。前切ったばかりじゃない。どうしたの?」



私のオススメの美容院。

…もとい、私の叔母がやっている美容院へと到着すると、私の母の姉である桐生志穂は軽くパーマをあてた艶やかな黒髪をかきあげながら聞いてくる。


私の叔母だから当たり前、といえばなんとも傲慢だけど、志穂姉(叔母さんと言ったら睨まれるから注意)は、40代後半には見えない程若々しく、美人。


美容師なだけあってオシャレだし、技術力もあり、人との距離が絶妙なので、志穂姉が個人経営しているこの店はなかなか人気のある美容院だ。




予約を入れといたものの、何も言っていなかったから、志穂姉は怪訝そうな顔をする。


「今日は私じゃなくて、カットモデルを連れてきてあげたの」


私はそう言うと高崎さんを前に連れてくる。


「私のクラスメイトの高崎唯さん。どんな髪型でも、似合うのならなんでもオーケー。良いお客さんでしょ?」



高崎さんは状況について行けずあわあわしていたけどそこはいったん無視。