「え?」


そのまま去っていくのかと思っていた男子生徒の言葉に、私はポカンとして聞き返す。


「こんだけ綺麗だったら、うっかりプリント全部落としちゃうか」


「なっ!?」


私が慌てて振り返ると、その男子生徒は悪戯っぽく笑っていた。


「じゃ」


そう言うと、男子生徒は今度こそ階段を上がって行ってしまった。



「……なんなの」



私はただ廊下に突っ立ったまま、男子生徒が上がっていった階段を見つめていた。