失敗した。 「あ、ごめんなんか変な声でちゃった。ほんとに聞こえなかっただけだから」 たじろいで二、三歩下がると、どんと誰かにぶつかってしまう。 「あ、すいませ…」 「やっすい女」 謝り終わるより先に、不機嫌そうな声が私を遮った。 はぁぁ!? なんて失礼な奴。 でもあれ?この声は……。 「一ノ瀬…くん」