ここどこだろう?


緑が広がりお花が咲いている。


初めての場所なのに何だろうこの安心感。


寝転がると真っさらな空が広がっていた。


雲一つない。


柔らかな風が心地いい。



「こんな所でのんびりしてていいの?」

「え?」



横を向くと同い年くらいの女の子が隣に座っていた。



「誰?」

「私は真琴(まこと)」

「真琴ちゃん? 私は__」

「心でしょ? 知ってる」

「え? あ、うん」



何で知ってるの?


初対面なのに。



「帰らなくていいの?」

「どこに?」

「みんなのところ」

「みんな……」



みんなって誰?


どうして?


何も浮かばない。


あれ?


私の名前……何だっけ?


今さっきなんて呼ばれた?


っ……!


おデコに置かれた手が冷たくてびっくりした。



「ここにいちゃダメ」

「どうして?」

「辛いことも、悲しいことも、楽しいことも……そして、自分の事さえも忘れてしまう」

「でも貴女は覚えてるじゃない」

「私は一つの命を守ったご褒美に許してもらったの。 私のまま、ここで大切な人を待つことを……」

「大切な、ひと?」

「そう、大切な人」



そう言って覆いかぶさるように抱きしめられた。