カフェのアルバイトは話をして週に2、3入る事になった。


シフト制で、基本は好きな曜日でいいよと言ってくれた。



「心ちゃん、1番テーブルに持って行って」

「はぁい」



マスターに言われ、1番テーブルにコーヒーを運んだ。


まだ働き出して間もないけど、ここのカフェは変に混む事なく、基本ゆっくりだ。


お店もマスターと紀美子さんのお二人かと思いきや、二人のお孫さんの涼介(りょうすけ)君がたまにお手伝いに来ている。


まだ中学三年生の涼介君は見た目も中身も落ち着いている。


ただ、マスターや紀美子さんと話している時だけは年相応に見える。


嬉しそうにコーヒーの淹れ方を教わっている。


「受験生なのに大丈夫なの?」と尋ねたら「エスカレーター式だから問題ない」と即答された。


そんな彼は今日もお手伝いに来ている。



「心、飲んでみて」

「うん」



人見知りはしないのか、最初から敬語もなければ遠慮もなかった。


嫌われてはいないのか、コーヒーの試飲を頼まれる。


一口飲んで思わず口元に力が入る。



「その顔どう言う事」

「……苦い」



そう言ったら、涼介君は顎に手を置きブツブツと考え始めた。