「まあ、もう噂になってるでしょうけど、今日は転校生がこの学園に転入してきました。転校生が珍しいからって質問攻めして困らせるんじゃないわよ!」



先生の冗談混じりな言葉にクスクスと笑い声が聞こえてくる。

その様子に先生は「もー!」と怒ったかと思うと、



「皆、仲良くしてあげてね。」



と扉の方に視線を向けながらクスリと笑った。

なかなか美人だ。絵になるという表現がぴったりなのかもしれない。



「さあ、もういいわよ。入ってらっしゃい。」




ガララ…

先生の合図で控えめに扉が開かれた。

転校生が教室内に入ってくる。

初めて対面する人物だが、姿勢がよく、きちっとしたイメージを感じさせる転校生だ。

だが、何だろう。あの何とも言えないぎこちなさは…。

少しのぎこちなさを感じ、「何処かで転ぶんじゃないか」とすごく心配になる。

まあ、心配のしすぎだろうけど。
だってほら、無事に(無事にって言い方もおかしいけど)教卓の前まで辿り着けてるし。