私たちは、知る由もなかったんだ。

自分たちが一番大変だ、とか思い込んで彼の気持ちに気づいてやれなかった。

彼の記憶を守る権利なんてなかったはずなのに、勝手にでしゃばって、勝手に偽善者を装っては救うことも叶わず。

自分の正義を盾にして、実は自分のためにやっていたことなんてこれっぽっちも分かっていなくて、ただの自己満でしかなかったのに。

戦う術を持ってない癖に前に出たがっちゃって。

まあ、彼がいなくなったのはそれが原因だろうけど。

自分勝手で自己中。

最悪だ。最悪すぎる。

力もない癖に守ってみせるなんて、今思い出すと笑いがこみ上げてきて仕方がない。

何度挫折したら分かるの?何度罪を犯したら分かるの?

ホント、私って______。





『それでもボクは君を守りたい。』





バカ。