「ねぇ、なんか絃ちゃん可愛くなった?」
「え?」
「その上目遣い可愛いなーって」
「か、可愛い!?」
さっきまでさんざん言われてきたから、私の上目遣いが可愛いなんて言ってくれると思っていなかったから。
瞳の言ってたことは間違いない。
そうよ、蓮くんが悪いんだよ。
蓮くんの好みがちょっと違うだけ。きっとそう。
「なんか自信出てきた!ありがとう、葵くん」
「ん?いや、どういたしまして」
シュンとしていたのに、突然元気を出した私に戸惑う葵くんだったけれど、お陰で立ち直れたよ。
蓮くんはダメだったけど、葵くんには好印象。
それにまだ、雅さんには試してないじゃない!
「雅さんっ」
リビングに行くと、私の分の夕飯を用意してくれている雅さんがいた。
今日の夕飯は豚のしょうが焼きらしい。
とてもいい匂いが鼻をかすめる。
近くで名前を呼ぶけれど、やっぱり雅さんからの返事はない。
予想はしてたけれど。
「さっきはごめんなさいっ。雅さんも絃のこと、探してくれてたんですよね?……あの、ありがとうございますっ」