「…俺はまだ桃原が好きだよ」
「……覚えてたの?あれ」
「…まあ
軽くなった?」
少し歯切れの悪い言い方で心配そうに聞いてくる
「ありがとう」
今の一言でどれだけ心が軽くなったか
三浦とも違う、綾瀬とも違う不器用なこの人はわたしをまだ想ってくれてるらしい
はっきりと諦めてって言わない私のせいなんだけど
「部活何入んのー?」
他人にあんまり関心がない三浦が花華に聞いて
「弓道部!」
「ちょっお前声でかい」
仕方ないんだけどやっぱりきみには花華しかうつってないみたい
失恋ってこういうことなんだ
「あ、桃原さんじゃん」
「気づいたのいま?
もう三浦さいてーい」
会話のなかに相手の名前をいれるといいってお母さんが教えてくれたけど
きっと三浦なんかには通用しないんだろうそんなテクニック
やっぱりきついなぁ、これ
少し泣きそうになるのをこらえて笑った