百合side


「ありがとう」



黒瀬


「うん」




私はあの日、はじめて黒瀬という人をしっかり見た


女の子に慣れてなくてなんとなくウブで

それなのに目はまっすぐで男らしい



それでも私はあの嘘が上手な、誰よりもかっこいいあの人が好きなんだけど


少し心が軽くなったのも、少しだけドキっとさせられたのも本当




あの日から黒瀬と2人で話すことはもうなかったし、なんなら三浦や綾瀬といることもあまりなかった


まず学校ももう少なかったし



そして今日はやっと、やっと入学式



「今度こそうまくやるんだ」



口にはださないけど高校生活こそは


学校楽しかったっておわるんだ