矛盾した自分の気持ちと、騙した罪悪感を抱きながらも、




日咲の隣で過ごす時間は温かくて……。
俺は日咲をもっともっと……求めてしまった。




守りたいと、望んでしまった……。



「……日咲ちゃんに言ったのか?」




陽光の表情がピリッと引き締まる。
された質問に答える気は無かった。




何も言わずに階段を上がろうとした俺に、



「おいっ。雨音っ!」



口調を荒げた陽光が腕を掴んで引き止めた。




「何とか言えよっ!」



「言ったって……陽光にはわかんないだろっ! ……俺の気持ちなんて」




腕を振り払い、陽光を睨み付け、階段を一気に駆け上がった。




八つ当たりだってわかってる。




日咲が好きな陽光と同じ顔なのに……日咲に好かれなかった。




日咲に嘘の好きを言わせた自分が気に入らないだけ。





駆け込んだ薄暗い部屋で、壁にもたれて座り込んだ。