昨日、一日中降り続いた雨が嘘のように今日の空は晴れ渡っている。



まだぬかるみの残る地面でひなたぼっこが出来るワケも無く、わたしは雨音を探して放課後の校舎をさまよっていた。




さまようって言っても、向かう場所は一つ。
昨日、雨音が居た図書室だ。




肩に掛けたカバンを揺らしながら図書室の入り口をくぐれば、



「…………」



見慣れない制服に身を包んだ背の高い女の子とすれ違った。




そんな彼女の凛とした後ろ姿をぼんやり見つめていたわたしを、



「日咲っ」




気が付けば傍らから呼ぶ声に、慌ててそちらを振り返った。



「あっ、雨音」




自然と顔が綻ぶ。
それと同時に柔らかくなる雨音の笑顔に、昨日のような険しさは微塵も感じない。



「帰ろっか?」




どちらともなく手を繋ぎ、前へ歩き始める。



わたし……雨音の支えに少しでもなれてるのかな?




わたしの中にはもう、雨音に向ける偽善的な優しさも嘘も無い。



ただ、雨音の隣に居る当たり前がこのままずっと続いて欲しかった。