こんなネガティブなこと言ってるから、日咲は呆れてしまったのかな。




呆れて、嫌われてしまったのかもしれない……。




そんな不安に胸がソワソワと落ち着き無く騒ぎ始め、




「あっ、雨音っ!?」




居ても立っても居られなくなり、その場から逃げ出してしまった。




笑って誤魔化して、弁解すれば日咲はきっと……何でも無いように笑ってくれただろう。




そんな余裕すら無いなんて、情けなさ過ぎる。




日咲に嫌われたくない。

日咲の傍に居たい。




そう願うほど、日咲の近くに居るのが怖くなり始めている。




非常階段の踊り場で切れた息を整えながら座り込む。




不意にもたれかかった壁は湿り気を帯びてしっとりしていた。




どうしようもなく頭を軽く掻いていると、ポケットの中の携帯が珍しく震えた。




そっと開いた画面に、



『大丈夫? 落ち着いたら連絡ちょうだい?』



日咲の名前とこの文章。




あぁ……。

やっぱり俺、日咲が好きだ。




改めてそう感じてしまったから、俺は携帯の電源を素早く落とした。